時間資本マトリクスとは何か
組織の労働時間を可視化する3+1のフレーム
時間資本経営は、組織の労働時間を「資本」として捉え、戦略目標とビジョンに循環させていく経営の考え方である。これを現場で具体的に運用するには、組織内の時間配分を可視化する入口が必要になる。
時間資本マトリクスは、組織の労働時間を「稼働/準稼働/非稼働/未来業務」の4区分で構造化し、戦略目標とビジ ョンの両方に時間を循環させるための、プロスタンダード独自のフレームである。
→ 上位概念である「時間資本経営」については、別記事「時間資本経営とは何か」で詳しく扱う。
※稼働とは「付加価値を生む業務」、準稼働とは「稼働を補助し、付加価値を生んでいないが現状のシステムでは必要な業務」、非稼働とは「付加価値を生まない業務」(出典:JIS Z 8141「生産管理用語」、日本IE協会「稼働分析」)
時間資本マトリクスの構造
時間資本マトリクスは、左の3枠(稼働/準稼働/非稼働 × 目の前の業務)と、右の1枠(未来業務)からなる「3+1構造」をとる。未来業務に投じた時間は、結果として稼働・準稼働・非稼働に事後分類される性質を持つ。そのため、6マスではなく、未来業務をひとまず1枠として外に置く設計にしている。時間は配分しただけでは決まらない、という前提が反映されている。事後に振り返ることで、時間資本をより本質に向けて循環させることが可能になる。
4区分の中身
稼働時間
戦略目標や成果に直結している業務時間。顧客への価値提供、意思決定、収益に直接結びつく活動など、組織のアウトプットを生み出している時間がここに入る。
準稼働時間
必要な業務ではあるが、構造的に膨張しやすい性質を持つ業務時間。会議(主に情報共有や進捗確認など)、社内調整、レビュー、報告資料作成などがこれにあたる。重要なのは、準稼働は「悪い時間」でも「個人がサボっている時間」でもないということ。これは個人や管理職の責任ではなく、組織構造の問題として扱うべきものである。多くの組織で、管理職の時間がこの準稼働に溶けている。
非稼働時間
付加価値を生んでいない業務時間。手戻り、形骸化した業務や会議、誰のためでもない作業など、削減・撤廃の対象となる時間。
未来業務
新しい飯のタネを生 む活動、組織のありたい姿に近づくための活動。ビジョン側の時間。今期の戦略目標の先にある構想に時間を投じる行為である。
なぜ「マトリクス」なのか
ビジュアルの中心に描かれた半円矢印①②③が示しているのは、4区分が循環する構造であるという思想である。
未来業務に投じられた時間が後々成果を生み、稼働の質を上げ、それが組織能力として蓄積されることで、同じ時間からより多くの成果が生まれるようになる。時間の「量」が、時間の「質」へと転化していく。この量質転化の循環を内在的に組み込んでいることが、時間資本マトリクスを「マトリクス」たらしめている。
逆に、この循環が止まり、時間が準稼働で詰まり、未来業務や稼働業務に回らなくなった状態が、構造的停滞である。
なお、この循環がどの程度機能しているかは、時間資本マトリクスの3つの測定軸で定量的に把握できる(詳細は別記事で扱う)。
時間資本マトリクスをどう使うか
時間資本マトリクスは、3つのサービスを通じて組織に実装される。
時間資本マトリクス・コンサルティング:構造改革への伴走
時間資本マトリクス・プログラム:管理職・現場への実装研修
時間資本マトリクス・セミナー:経営層~現場への考え方のインストール
このフレームは、14年・100社・延べ15,000名の管理職・現場社員に価値提供するなかで構造化・体系化してきた。
→ マトリクスを使った組織診断の前提となる「構造的停滞」については、別記事「構造的停滞の正体」で詳しく扱う。
→ 上位概念である「時間資本経営」については、別記事「時間資本経営とは何か」で詳しく扱う。
時間資本マトリクスとは何か
組織の労働時間を可視化する3+1のフレーム